資料調査報告(No.6) :2011年3月発行 「WHEELHOUSE, CONTROL ROOM 今昔 (1)」

2011.03.30 保存委員会 委員 大谷昇一

船舶の運航、操縦を司る指令室として WHEELHOUSE や CONTROL ROOM は重要な場所である。
それだけに各時代の実用化され得た最新鋭の機器類が採用され装備されてきた。 したがって WHEELHOUSE や CONTROL ROOM の写真を見れば当時の技術の水準や動向を窺い知ることができると思われる。

ここではそう云う目的で雑誌、学会誌、図書などから WHEELHOUSE、CONTROL ROOM の写真を収集し並べてみることにした。 なお、CONTROL ROOMとしては ENGINE CONTROL ROOM だけではなく ENGINE ROOM の一部、CARGO CONTROL ROOM や RADIO ROOM も含めることにした。

1. 昭和20年代の WHEELHOUSE, RADIO ROOM

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2. 昭和30~32年の WHEELHOUSE, CONTROL ROOM

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3. 昭和33~34年の WHEELHOUSE, CONTROL ROOM

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4. 昭和35,36年の WHEELHOUSE, CONTROL ROOM

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5. 昭和37年の WHEELHOUSE, CONTROL ROOM

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6. 昭和38、39年の WHEELHOUSE, CONTROL ROOM

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あとがき

  1. 1) 昭和20年代、30年代の WHEEL HOUSE , CONTROL ROOM の映像を雑誌「船の科学」を中心に採取してみた。 身近にある資料をベースにまとめたが、同じような試みを、資料を探して 昭和40年代、昭和50年代、・・・ と継続してやっていきたい。
  2. 2) 筆者は 昭和36年4月 新三菱重工業(株)神戸造船所に入社し造船設計部に配属されたが、商船の設計に携わるようになったのは 昭和39年の半ば以降であった。 従ってここに採取した映像は筆者にとっても初めて見る、いわば未知の映像である。
  3. 3) 後に WHEEL HOUSE の配置設計や機関部の計装設計に携わることになるが、昭和40年代、50年代につながる斬新なデザインが既に見られることは興味深い。
  4. 4) 斬新なデザインの例としては 円形ブリッジの採用が挙げられる(たこま丸、おりおん丸、さくら丸 など)。 できるだけ全周に視界が広がるように WHEEL HOUSE と CHART ROOM を一体化したデザインは今でも新しいと思う。
  5. 5) その他に レーダの2台装備、電波航海計器の採用、CONTROL ROOM の採用、機関部や荷役の自動化遠隔操作の試みなどが見られる。
    レーダは、当時は相当高価であったと思われるので、2台装備は昭和40年代半ばまで一般的にはならなかった。 また電波航海計器(レーダ、ロランなど)は、戦後米軍の軍事技術が一般に公開されたことで、商船にも採用されることになったものである。
    CONTROL ROOM の採用も昭和37年ごろから多く見られるが、多くの船では昭和39年頃でも、データの採取は、まだ機側で人手でやっていた。 センサーの価格や工事費が高くつくためか、またセンサーの性能、耐久性に問題があったためか、集中監視方式が一般化するのは昭和40年代になってからであった。
    機関部だけでなく、タンカーの荷役システムの遠隔操作・自動化の状況を示すコンソールや制御盤の映像も見られるが、これらの試みは昭和40年代半ばのコンピュータを利用した超自動化船へと引き継がれていった。
  6. 6) 昭和20年代、30年代の映像を見ていて気付くことは、さすが「船の科学」なる雑誌に取り上げられるだけあって、その時代としてはかなり先端的な映像であると云うことである。 ここで取り上げられたようなことが、多くの船で採用されるようになるには5年程度の年月を要したのである。 これらの先端的な試みに敢えて取り組んだ往時の船社や造船所の関係者の意気込みに敬意を表したい。

以上

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