「造船資料・用具の調査・保存委員会」 収蔵品展示(第1回) 終了後の様子
当委員会では 各位から頂戴した収蔵品は逐次公開していくことを原則としておりますが、 今回その第1回として、去る3月 広島県立大崎海星高校から頂戴した旧造船科の教材などを 下記要領で展示公開することとなりました。
公開展示のテーマ
「広島県立大崎海星高校・旧木江工業高校造船科」 の 軌跡
今回の展示会の趣旨
日本の造船業の強さは、どんな船でも間違いなく造り、契約通りの納期に引き渡すことが出来るという総合的エンジニアリング力の高さであります。そしてそれを支えたのは多くの技術者達でした。 とりわけ優秀な中堅技術者は日本造船産業の実質的な担い手の中心でした。
今回、海事博物館の特別企画展に合わせて当委員会の第1回の展示会を開催し、この造船界の実質的な担い手の育成機関として重きを成した工業高校造船科の教育について、その資料を展示し、その活躍振りに思いを寄せて頂く事にしました。
造船に関わる学科を持つ、あるいは持っていた工業高校は総数としては22校を数えたものの、第1次、第2次石油危機を契機とする長期に亘る造船産業の量的低迷や社会の高学歴化の影響で平成21年度には僅か2校に減少してしまいました。
この中で歴史も長く、ほぼ完全な形で資料が残されていた広島県立大崎海星高校(造船科があった当時の校名は木江工業高校)から その造船教育に関する貴重な資料を頂戴しましたので、工業高校における造船教育の一例として展示する事にしました。 70数点に及ぶ木造船建造用のカンナなど充実した内容は見る人の大きな関心を呼ぶと思われます。
今回、これを受領のため現地を訪れた委員は昨日まで授業が行われていたようにそのまま遺されている教室や標本、実習室などを目の当たりにして、深い感慨に浸らざるを得ませんでした。
今ここに同校の活動を偲ぶ展示をすることが、熱心に教育を行った関係者への感謝を表すことにつながり、また本展示会をご覧下さる同校関係者が往時を偲ぶよすがとなれば幸いであります。
展示会開催後の写真