資料調査報告(No.1) 2009年10月発行「電気部 装備機器の変遷」

4.通信システム

4-1.電話装置

船内の通話には、電話機が導入される以前は伝声管(Voice Tube) が用いられていた。1960年ごろは伝声管と無電池式電話が併用されていた。

電話には、無電池式電話、共電式電話、自動交換電話がある。
無電池式電話は、手回し発電機が内臓されていて電源が不要なため、古くから(1960年以前)使用されていたが、感度が良くないという欠点があった。 共電式電話は、DC24V電源を必要とするが高感度であるため、無電池式に代わって用いられるようになった。
無電池式、共電式共に、船内の重要ステーション(たとえば操舵室、操舵機室間)をつなぐ 1:1の通話、または 1:Nの通話に用いられた。

それに対し、自動交換電話は船内の任意の個所を結ぶ通話装置として用いられた。 1960年代の後半から採用が始まり、最初のものは耐振性を考慮して全リレー式のもので、容量も10回線、3回路程度であったが、実績が上がるにつれ20~30回線、4回路と拡大していった。 電話機そのものは、当初はダイヤル式であったが、1980年代頃からプッシュホン式に代わっていった。

現代は、携帯電話やIP電話など新しいものが多く出ているが、船内の重要個所間では依然として無電池式電話、共電式電話が用いられており、邦船では共電式電話が主流になっているとのことである。

  1. 1)無電池式電話 (Sound Powered Telephone)
  2. 2)共電式電話 (Common Battery Telephone)
  3. 3)自動電話 (Auto Exchange Telephone)

(1)自動交換機

(日本舶用エレクトロニクスのカタログより)

(2)電話機 ダイアル式

(3)電話機 プッシュフォン式

4-2.エンジン・テレグラフ (Engine Telegraph)

主機関の速度についての命令の指令、応答を伝達・表示するもので、船橋とエンジン制御室間に設けられる。

4-3.船内指令装置 (Public Address System)、 操船指令装置 (Dock Announcing System)

いずれも増幅器、スピーカ、マイクで構成されるシステムで、当初(1960年代)は別システムであったが、最近は統合されている。
船内指令装置は音声による船内の連絡、放送を行うシステムである。
操船指令装置は、操舵室、船首、船尾の間で音声のトーク・バック方式で作業指示を行うシステムである。

東京計器のシステム(カタログより)

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