資料名マースメック機器 (全体構成)
製作年代 | 1966年 1968年 1972年 分かれて製作されている |
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製作者 | 安立電波工業(株) |
使用時期 | GPS方式導入まで |
形式 | 電波を利用した船舶速度測定装置 |
寸法 | 各種あるがいずれも可搬式の範囲 |
写真はA機の模擬設置状況。 B機もほぼ同様。 詳細は「取扱説明書」を参照のこと。
<全体の概説>
今回提供を受けた機器は電波を利用した船舶速度測定装置「MARSMEC」セット2式である。 提供者使用時は「A」「B」と識別してあったので、ここでは「A機」「B機」としてある。
A機は昭和43年1月製造、B機は41年1月製造と推定される。 提供者が何故2式のセットを所有していたのかなどの経緯は承知していない。 また、一部の機器には昭和47年1月製造という銘板が付けられている。 この経緯も不明である。
各セットの構成は別表「マースメック構成表」に示すとおりである。 なお、この構成は当委員会が受領した姿に基づく構成である。 別途収蔵品の中に含まれていた製作者安立電波工業(株)記述の「取扱説明書」内に述べられている「構成」がある。 新造時はこれが正しい姿であったと推定される。
この装置は測定局と応答局2つのセットで構成されるが、一般には前者を船上に、後者を陸上に設置して双方の移動距離を測定する。
マースメック「MARSMEC」(Mitsubishi Anritsu Radio Ranging and Speed Measuring Equipment)という商品名を持つ装置は、三菱重工と安立電波工業が共同で昭和33年から3年掛けて開発したものであるが、今回寄贈を受けた装置は、その後改良された第2世代機であると考えられる。
使用電波の周波数が第1世代機は150MC帯であるのに対して、本機は3000MC帯の搬送波に約7.5MCの測定周波数を載せる方式となっている、製造記号ASM-2がそれを示すものと考えられる。 アンテナも第1世代が八木アンテナであるのに対して本機はパラボラとなっている。
各局とも移動設置を必要とするために、機器はすべて可搬式として重量、大きさの制限を受けており、かつ1筐体ごとに背負い袋に入れて運搬可能なように作られている。 さらにその袋を木箱に収納するという丁寧な作りとなっている。 この世代の後に出現したGPS利用の測定器と比べると隔世の感がある。 また作業者の労苦も大きかったことが偲ばれる。