• 資料番号052127

資料名「安全法」関係資料

東京大学旧船舶工学科が所蔵し、造船資料保存委員会に寄贈された各種資料のうち、「安全法」関係の資料について整理し概要調査した結果を示す。

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キーワード
旅客船計画審議委員会、28隻組、占領期の造船、GHQ、復原性基準
資料作成時期 1946年~1958年(昭和21年~33年)
内容説明

第2次大戦終戦後、商船の建造に関する産・官・学共同の大きな動きには下記の3つがある。

1)壊滅した商船隊の復興に関する計画的な取り組み、後に計画造船に繋がる。
2)内航・外航商船の安全性・性能に関する技術の研究開発、後にSR、RRに繋がる。
3)安全性、環境保護などに関する規制作成と国際条約への参加、対応。

上記2)、3)のうち耐航性、復原性、操縦性に関する事項について東大運動性能研究者が大きく関わっており、関連する資料が多く残されている。
本「安全性」関係資料に収納されている資料は、そのうち最初期のものであり、国内法である復原性基準作成に関わるものが多い。

資料の内容はリンクファイル「052127資料リスト」に示す通りである。資料番号サブナンバー0001の「旅客船計画審議委員会ファイル」は特に重要なものであるが、戦後の物資不自由な時代のものであり損壊のおそれがあるのでTIFFコピーを作成した。この資料の経緯と内容については、リンクファイル「052127参考資料「東大に多くの実船図面が所蔵されていた経緯について」」で説明している。

「旅客船計画審議委員会ファイル」は宛先に山県昌夫氏の名前が書かれているので同委員会メンバーであった山県氏が所持しておられたものと推定する。この資料は、敗戦直後の著しい船舶不足状況の中で国内航路船の不足を急遽補うために、占領軍司令部GHQが28隻の急速建造を指示したことに対応して、如何なる船を設計・建造したらよいかを指導するために設けられた委員会の記録である。

技術的な事項に関する資料は次の通り。

1)占領軍の規制の中に速力15ノット以下とあるので速力の定義に関する議論を行った。
2)使用する主機の中に戦時標準船用機関があったのでMCRの定義等に関し協議を行った。
3)小型船が多いので復原性に関する基準の必要性が論じられた。

これらはいずれも後に標準試運転要領、復原性基準などに繋がって行く協議であったと思われる。参加者は運輸省船舶局、運研、船級協会、東大・九大、海運会社・造船所技術者でのちのSRなどの産官学協力体制へつながる萌芽であったと思われる。
資料番号サブナンバー0001以外の資料はすべて復原性基準に関するもので、制定の順に基準の内容、解説などを含んだ報告書、それらの外部への説明などの資料である。これら資料の作成者は船舶安全法改正準備室の復原性班で、そのW/Gとして設けられたのが復原性研究会である。

リンク
ファイル
052127資料リスト(PDFファイル)
052127参考資料「東大に多くの実船図面が所蔵されていた経緯について」(PDFファイル)

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