榎本武揚(当時、農商務大臣)等の主唱により、1896年(明治29年)9月28日に創立された「浦賀船渠(株)」は、1957年(昭和32年)6月に創立60周年を迎え、その記念事業の一つとして本書「浦賀船渠60年史」が刊行された。

(注:会社創立は上記年月日と記されているが、会社の設立登記は翌年明治30年6月21日であり、この日を同社の設立記念日とすると記されている。)

本書では、まず造船所所在地である浦賀の地理的・歴史的背景や、創業当時の時代背景や創業・造船所建設までの経緯が詳細に記述されている。

続いて、創業時(日露戦争勃発前後)から第2次世界大戦終戦後の復興・発展期に至る、関連社会情勢と海運造船業界の情勢を記述するとともに、その中における浦賀船渠(株)の運営内容や製品製造概要等が記述されている。

特に、関連社会情勢や海運造船業界情勢の記述は、この時代の海運造船業界の歴史を観る上で貴重な文献である。

本書の巻末には、年表(社内事項主体)および建造船一覧表(船番、船名、船種、起工進水竣工年月日、主要目等を記載)が付いている。

参考

・浦賀船渠(株)は、1962年(昭和37年)に玉島ディーゼル工業(株)と合併し、浦賀重工業(株)に社名変更。
・浦賀重工業(株)は、1969年(昭和44年)に住友機械工業(株)と合併し、住友重機械工業(株)となる。

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