• 資料番号052189

資料名「”尾道丸”海難」関係資料

東京大学旧船舶工学科が所蔵し、造船資料保存委員会に寄贈された各種資料のうち、「”尾道丸”海難」関係の資料について整理し概要調査した結果を示す。

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キーワード
尾道丸、大型専用船、ばら積貨物船、波浪衝撃、スラミング、海難審判
資料作成時期 1981年~1982年(昭和56年~57年)
内容概説 「尾道丸」は第21次計画造船により日本鋼管鶴見工場で建造(昭40年10月進水)された、ばら積貨物船(33,833GT)である。米国で粉炭53,902トンを積み日本に向け太平洋を西航中、昭和55年12月30日野島崎東南方約800海里の地点で、船首が大波に突っ込んだ際、船首部が上方に屈曲し、その後切断し海没した。乗組員は全員救助されたが、船体は翌年2月11日曳航中に沈没した。海難審判は、大型船のスラミングの実態が解明されていなかったために、運航と船体の両面で十分な方策が講じられていなかったことが原因とした。運輸省の技術検討会の報告書等を収録する。本海難の詳細については、リンクファイル「052189参考資料1「貨物船尾道丸遭難事件」」(海難審判所ホームページ)」を参照されたい。
内容・解説 収録資料はリンクファイル「052189資料リスト」による。 運輸省は「尾道丸事故に係る技術検討会(委員長・山本善之東大教授)」を設置し、事故原因の究明を行った。番号Ⅰ、Ⅱ、Ⅲは技術検討会での配布資料、番号Ⅳは技術検討会の最終報告書(昭56年11月20日、運輸省船舶局発行)である。満載状態の大型船ではスラミングは起こりにくいと考えられていたが、技術検討会は事故の状況からスラミングが発生したと考えて、尾道丸が遭遇した波浪の大きさを仮定し、波浪中の船体構造応答計算プログラムで船首部にかかる衝撃荷重を求め、三次元有限要素法を用いて船体応力を計算(船齢15年を考慮して部材寸法から衰耗量を差引いた)した。その結果、一番貨物倉後部の上甲板の応力が、座屈限界応力を超えることが判明し、事故は船首船底のスラミングによるとした。番号Ⅴは、全日本海員組合が実施した点検状況の結果と、尾道丸報告書についての組合としての考え方をまとめたものである。尾道丸海難は、昭和44年「ぼりばあ丸」海難、昭和45年「かりふおるにあ丸」海難に続く大型専用船海難事故であり、何れも荒天下で船体に作用する波浪荷重と船体強度に係るものである。(社)日本造船研究協会は、ぼりばあ丸事故以降、この課題に対応する幾つかのSR研究を実施したが、尾道丸事故を受けて、さらに「波浪中の船体応答に関する研究(SR194)」を実施した。この3隻の海難事故の比較、および関連するSR研究を、それぞれリンクファイル「052189参考資料2、3」に示す。
リンク
ファイル
052189資料リスト(PDFファイル)
052189参考資料1「貨物船尾道丸遭難事件」(海難審判所ホームページ)
052189参考資料2「大型専用船海難事故の比較」(PDFファイル)
052189参考資料3「大型専用船海難に関連するSR研究」(PDFファイル)

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