• 資料番号052194

資料名「鉄道連絡船の海難」関係資料

東京大学旧船舶工学科が所蔵し、造船資料保存委員会に寄贈された各種資料のうち、「鉄道連絡船の海難」関係の資料について整理し概要調査した結果を示す。

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キーワード
鉄道連絡船、青函連絡船、洞爺丸、十勝丸、洞爺丸台風、宇高連絡船、紫雲丸
資料作成時期 1954年~1955年(昭和29年~30年)
内容概説 昭和29年9月26日台風15号による青函連絡船の遭難(洞爺丸、十勝丸、日高丸、北見丸、第十一青函丸沈没)と、昭和30年5月11日の宇高連絡客船紫雲丸の沈没事故の資料を収録する。車載客船洞爺丸(4337GT)沈没では、乗客乗員など1155人が死亡、十勝丸など4隻の車両渡船の沈没では乗組員計275人が死亡した。海難審判では、洞爺丸遭難は船長の職務上の過失に起因するが、船体構造・連絡船の運航管理が適切でなかったことも一因とした。紫雲丸(1480GT)は濃霧の中で宇高連絡貨物船第三宇高丸と衝突沈没し、修学旅行生を含む船客など計168人が死亡・行方不明となった。海難審判では衝突した両船船長の過失とした。詳細はリンクファイル「052194参考資料1「洞爺丸遭難事件」(海難審判所ホームページ)」および「052194参考資料2「紫雲丸・第三宇高丸衝突事件」(海難審判所ホームページ)」を参照のこと。
内容・解説 青函連絡船の遭難では、台風の急速な発達と進路予想の難しさが運航者の判断を誤らせた面がある。気象に関する資料が、リンクファイル「052194資料リスト」のⅠである。Ⅱは、遭難の状況、各船の状態、現地調査報告などである。この中に「造船技術審議会船舶安全部会・連絡船臨時分科会」第1回議事録がある。しかし2回以降の資料は無い。雑誌「船舶」第27巻第11号(昭和29年11月)の記事「洞爺丸の惨事に想う」は、事故直後の情報に基づいて問題点を指摘している。Ⅲは各船の図面・設計資料などである。海難審判理事所の依嘱により、日本海事協会の佐藤正彦氏が東大の加藤弘教授・元良誠三助教授と共同で、洞爺丸と十勝丸の復原性について鑑定を実施した。その概要を記す日本海事協会会誌の別刷と、水槽試験データなどがⅣである。鑑定の結果は、洞爺丸については車両甲板の浸水のみではまだ復原力を有するが、機関室・罐室にも浸水し、横波・横風を受けて大傾斜を生ずれば転覆の恐れがあるとした。十勝丸の場合は車両甲板への浸水のみで復原力を失い転覆する恐れがあるとした。Ⅴは、上記試験結果を含む事故の全容を記した、加藤・佐藤・元良3氏連名の英文論文であるが、発表先の記載が無い。Ⅵは、宇高連絡船紫雲丸の沈没事故に関する資料である。なお新型の青函連絡船として、車両渡船檜山丸・空知丸と車載客船十和田丸が新たに建造された。檜山丸と十勝丸の図面をリンクファイル「資料番号052193「青函連絡船「檜山丸」型図面」」に示す。

参考文献:古川達郎「鉄道連絡船100年の航跡」(成山堂)

リンク
ファイル
052194資料リスト(PDFファイル)
052194参考資料1「洞爺丸遭難事件」(海難審判所ホームページ)
052194参考資料2「紫雲丸・第三宇高丸衝突事件」(海難審判所ホームページ)
052194参考資料3「洞爺丸の惨事に想う」(雑誌「船舶」第27巻第11号抜粋)(PDFファイル)
資料番号052193「青函連絡船「檜山丸」型図面」

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