資料名客船、貨客船、小型客船図面
東京大学旧船舶工学科が所蔵し、造船資料保存委員会に寄贈された各種資料のうち、「客船、貨客船、小型客船図面」について整理し概要調査した結果を示す。
検索ID キーワード |
図面、客船、貨客船、小型客船、復原性基準、28隻組、旅客船建造計画審査委員会 |
図面作成時期 | 1947年~1952年(昭和22年~27年) |
内容説明 | 資料番号052232で括った27隻の貨客船、客船などの図面提供を東大が各社に求めた理由は下記の2つではないかと推測する。 (1)復原性基準策定のための試計算を行うため(2)操縦性能に関する研究のため。 従って、各船の図面の種類はこの目的に必要なものに限定されている。例:一般配置図、線図、復原力曲線、旋回試験成績など。 対象船27隻の内18隻は、終戦直後の逼迫した旅客輸送能力改善のために、運輸省海運総局が占領軍総司令部(GHQ)に76隻の建造を申請し、許可された28隻(俗称「28隻組」ーリンクファイル「052232図面リスト総括表・小型客船28隻組」参照)に含まれている。この28隻を建造するに当たって運輸省は造船聯合会に旅客船建造計画審査委員会の設置を慫慂した。この委員会の実態とその活動については、リンクファイル「052232参考資料「東大に多くの実船図面が所蔵されていた経緯について」」に記したが、この委員会において、客船などの復原力の基準について意見が交換され、結論として「復原力研究小委員会」が設置され、その委員長として東大加藤弘教授が就任した。この委員会は、その親組織「造船聯合会」が昭和21年9月15日解散団体の指定を受け、解散したために、自動的に解散し、活動報告を出して終わった。しかし、復原性能の基準作りに関する活動は継続されたと思われる。その活動がこれらの図面提供に繋がったと推測される。具体的に加藤教授から図面提供を要請した記録は2件残っている。1件は三菱・下関に対する要請で昭和29年7月1日付け書信でこれには「かねてから復原性能の基準と判定の研究を行っており、そのために・・」と記されている。もう1通は三菱・神戸宛てで昭和33年8月20日付けで同様の趣旨で播州丸の図面を依頼している。しかし、これらの日付はかなり遅く、大半の作業が終わった後に少し古い船などについて追加計算を試みたのではないかと推測する。 上記27隻の貨客船、客船などの図面リストを、リンクファイル「資料調査報告(No.18):戦後の産官学協同体制の萌芽を示す小型客船建造体制に関する資料類」に示す。 |
リンク ファイル |
052232図面リスト総括表・小型客船28隻組(PDFファイル) |
052232参考資料「東大に多くの実船図面が所蔵されていた経緯について」(PDFファイル) | |
資料調査報告(No.18):2018年10月発行「戦後の産官学協同体制の萌芽を示す小型客船建造体制に関する資料類」 |