資料調査報告(No.5):2010年10月2日発行 雑誌「船舶」の掲載広告に見る船舶装備機器の変遷(電気部)

3.「船舶」昭和28年(Vol.26)の広告

1)S28-01
日本電気精器の回転機と配電盤
2)S28-02
日本電気の無線機と音響測深機

・1)は日本電気精器の回転機と配電盤、起動器盤などで、2)は日本電気の無線機と音響測深機で、日本電気はこの頃は舶用分野も手掛けていたことが分かる。

3)S28-03
協立電波の無線装置
4)S28-04
RCAの救命艇用送受信器

・3)は協立電波の無線装置で、写真の手前は受信機で後方は送信機である。 4)はRCAの救命艇用の送受信器で大倉商事が代理店となっている。 救命艇用の送受信器だけの広告は珍しい。

5)S28-05
安立電気のレーダ
6)S28-06
JRCの無線装置

・5)は安立電気のレーダ(デッカ製)で、レーダ・マストの形状や指示機の取り付け方が面白いので取り上げた。
6)はJRC の無線装置であるが、受信機はコンソールに組み込まれている。 手前がコンソール、後方が送信機や無線用の配電盤(充放電盤を含む)で、この配置がその後の無線室の標準的な配置となる。

7)S28-07
日本防蝕工業の電気防蝕法

・7)は電気防蝕の広告。 この頃から電気防蝕が行われていたことが分かる。

8)S28-08
日本電気精器のセルシンモータ

・8)はセルシンモータの広告。

セルシンモータは角度の伝送に使用される。
船舶には角度伝送の必要なものが多い。 舵角計、エンジン・テレグラフ、風向計などである。
セルシンモータ単体での広告とは珍しいが、当時、新しく実用化された技術だったのかと思う。

9)S28-09
日本造船機械のエンテレ、舵角計

・9)は日本造船機械のエンジン・テレグラフ、舵角計の広告である。
上記8)のセルシンの開発により、このような製品が実用化されだした。

10)S28-10
海上電機の各種製品

・10)は海上電機の各種製品で、音響測深機、魚群探知機、方位測定器などの名称が見える。
これらは当時の新製品だった。

11)S28-11
高邦丸 28,000 T、 油槽船の Wheel House 船主、建造造船所の記述なし。

・レーダ指示機、Gyro Pilot、エンジン・テレグラフなどが見える。

・反映式磁気コンパスが採用されている。
この頃から反映式が採用されだしたようである。
Compass Deck に本体が装備され、鏡の入った筒が天井から突き出している。

・Compass Deck との連絡用の伝声管(Voice Tube)も見える。

[メモ]

  1. 1)雑誌「船舶」の電気関係の広告には、無線装置や航海計器に関するものが多い。
    当時新しい技術や方式が現れ 新製品が登場したためと思われる。
  2. 2)無線装置については、日本無線(JRC),安立電気、協立電波、東芝、日本電気などが広告を出している。
    このうち、東芝、日本電気は船舶部門から早く撤退した。
  3. 3)超音波の技術も音響測深機の形で船舶に取り入れられた。
    それまでは深度はロープなどで測深していたので、これは大きな変化である。
  4. 4)セルシン・モータの広告があったので面白いと思った。
    セルシン・モータは角度の伝送に使われるもので、舵角計などの製品の中に組み込まれている。
    それが単体で広告されているということは、これが新しい技術だったからであろう。
  5. 5)無線機器のコンソール化が徐々に進んでいることが分かる。

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