資料調査報告(No.5):2010年10月2日発行 雑誌「船舶」の掲載広告に見る船舶装備機器の変遷(電気部)

18.「船舶」昭和43年(Vol.41)の広告

1)S43-01
三菱電機のラジオ
2)S43-02
コリンズのトランシーバ

・1)は三菱電機の船舶用ラジオで、これは居室に設置する娯楽用のラジオである。
短波放送の受信ができるもので、昭和40年代にはよく採用された。

・2)はコリンズのSSB(Single Side Band )のトランシーバである。
ヨーロッパ向けの輸出船に採用されたものと思われる。
ヨーロッパではすでに短波帯の無線電話が普及していたことが窺える。

3)S43-03
ASEAの舶用電力機器
4)S43-04
ユグナー社の ログ(測程儀)

・3)はASEAの交流発電機のStandard Seriesで外国メーカでは当時から標準化が進んでいた。

・4)はユグナー社のサル・ログ。
サル・ログとは Pressure Log のことで船底に突き出したピトー管の受ける動圧と船底部の静圧との圧力差から速度を検出するもの。

5)S43-05
東京計器のレーダ

・5)は東京計器のレーダで、この機種 MR-100は当時よく採用された。
表示部は10”となっているが、当時は大きく感じられた。

6)S43-06
IHI建造タンカーの操舵室
7)S43-07
IHI建造のタンカーの 機関制御室コンソール
8)S43-08
IHI建造タンカーの荷役制御室コンソール

・昭和43年9月号にIHI建造の大型タンカー(310、200DWT)の紹介記事があり、操舵室、機関制御室、荷役制御室の写真が掲載されていたので、当時の映像を知ることのできる資料として採取した。

・昭和43年8月竣工。船名はUNIVERSE IRELAND輸出船である。

・6)は操舵室で中央の操舵スタンドを挟んで左右にレーダ指示機が配されている

・7)は機関制御室で、メータが沢山配置された大きなコンソールが見える。中央に電話の送受話器が3本ある。

・当時の華やかさが感じられる。

・8)は荷役制御室で、ここにも大きなコンソールが配されている。コンソール上に見えるのは、バルブ制御用のスイッチ、ランプ、メータなどか。
それにしても大変なコンソールである。
機関制御室のコンソールも大変なものであるが、このコンソールにも当時の関係者の意気込みを感じる。

9)S43-09
ASEAの自動化機器

・9)はASEAの自動化関連機器である。
ブリッジ・コントロール・システム、リング状のトルクメータ、交流発電機の標準シリーズなどである。

[メモ]

  1. 1)この年は機器の広告としては目新しいものは少なかった。
    三菱電機の船舶用ラジオがあるのは珍しいが、当時は30MHzまでの短波帯をカバーする多バンドのラジオはなかった。造船所側の要請で三菱電機が製作したものと思われる。
  2. 2)IHIの30万トンタンカーの操舵室、機関制御室、荷役制御室はたまたま目に付いたので収録した。
    大きなコンソールを計画、設計した当時の関係者の熱気を感じる。

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