資料調査報告(No.5):2010年10月2日発行 雑誌「船舶」の掲載広告に見る船舶装備機器の変遷(電気部)

6.「船舶」昭和31年(Vol.29)の広告

1)S31-01
門口計器の回転計

・1)は門口計器の回転計、ベルト式と書かれている。

2)S31-02
日本防蝕の電気防蝕
3)S31-03
光学式捩計

・2)は日本防蝕の電気防蝕で一度取り上げたが、今回は実績が入っているので注目した。実績として光栄丸、日栄丸など19隻の船名が書かれている。

・3)は倉本計器の回転計、光学式捩計で、捩計に光学式を取り入れたところが当時としては新しいところか。

4)S31-04
空知丸の Wheel House 船主は国鉄、建造所は 浦和船渠

・中央に操舵スタンド、右舷側にレーダ指示機が見える。

・エンジン・テレグラフが3台あるのが珍しい。

5)S31-05
JRCの無線装置の広告
6)S31-06
5)の無線室の部分を示す。

・5)はJRCの無線装置で今まで何度も取り上げてきているが、今回は無線室内の写真が入っているので取り上げた。無線士が受信機を聞きながら電鍵操作をしているところか?
コンソールの卓上にはタイプライター、電鍵、電話などが見える。

7)S31-07
藤倉電線の舶用電線

・7)は藤倉電線の舶用電線で、電線の写真が入っているので取り上げた。
舶用電線には電線の内部を保護するためのがい装が施されているが、この写真ではスパイラル状に鋼線が巻かれているのが分かる。がい装には殆んど鋼線を網状に編んだ網代がい装方式が使われているが、この当時はスパイラル式が一般であったのだろうか?

8)S31-08
光電の方探

・光電の方探については、昭和29年で取り上げたが、ここではループ・アンテナが入っているので採取した。この絵のように2本のループを直交した方式がその後の標準となった。

9)S31-09
川重のノーヒューズブレーカー

・9)は川重のノーヒューズブレーカで、当時は造船所でこのような電機品を扱っていたことが窺える。

10)S31-10
JRCの気象図ファクシミリ

・10)はJRCの気象図用のファクシミリ受信機である。箱体が2つもあり、相当大きそうである。
気象図の作成は従来は2時間掛っていたが、この受信機の導入で15分で済むと書かれている。

11)S31-11
東京衡機の舶用トルクメータ

・11)は東京衡機の電気式トルクメータで取り付けの状態がよく分かる。

12)S31-12
東芝の舶用電気機器

・12)は東芝の電気機器で今まで幾度も取り上げてきたが、ここでは発電機と電動機の写真が入っているので採取した。発電機は交流主発電機で容量は550KVAと記されている。
普通の貨物船の発電機容量はこの程度であった。

13)S31-13
湘南工作所の探照灯

・探照灯の広告は今まで見なかったので取り上げた。

電球式と書かれている

14)S31-14
東洋端子のAMP端子

・14)はAMP端子の広告で、当時では画期的な新方式だったと思われる。

15)S31-15
海上電機の Marine Graph
16)S31-16
東洋電機の交流電動ウインチ

・15)は音響測深機で海底を記録する装置である。

・16)は東洋電機の交流電動ウインチの広告。
ウインチは速度制御が必要なため、当初は直流電動機でスタートした。ところが、ここでは交流電動ウインチと書いてあるので、交流化が進んできたことを示すものとして取り上げた。

[メモ]

  1. 1)昭和29年、30年と余り目新しい広告がなかったが、この年 (昭和31年)は新しい広告が目に付いた。光学式の捩れ計、電気式トルクメータ、気象図ファクシミリ、AMP端子などである。
  2. 2)国鉄の連絡船のWheel House の写真も珍しい。
  3. 3)電気防蝕の広告から、この方式の実用化が進んでることが窺えた。

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