資料調査報告(No.5):2010年10月2日発行 雑誌「船舶」の掲載広告に見る船舶装備機器の変遷(電気部)

7.「船舶」昭和32年(Vol.30)の広告

1)S32-01
富永物産 GMの発電機セット

・1)はGMの発電機セットで富永物産は輸入元。 エンジンも含めて各種の発電機(20~245KW)を供給するということか。

2)S32-02
東京電機の回転機

・2)は東京電機の発電機、電動機の広告で、直流、交流と併記されている。

3)S32-03
東電機の回転機

・3)は東電機の電動機・発電機の広告。 これも交流、直流と併記されている。

4)S32-04
古河電気の導波管と電線

・4)は古河電気の導波管 (Wave Guide) と電線の広告。導波管はレーダの送受信機とアンテナ間の電波の伝送に使用される。矩形、中空の銅製の管であり、3cm波用で外形は32×16mm程度である。

5)S32-05
NECの気象図ファクシミリ

・5)はNECの気象図ファクシミリで、昭和31年の広告として取り上げたJRCのファクシミリに比べるとかなりコンパクトになっているように見える。ファクシミリの登場は船内の天気図作成作業が楽になっただけではなく荒天海域を予め知ることでその海域を避航することができ、船舶運航の安全確保に貢献した。
また新聞等の陸上の情報の伝送にも使われ、船内生活の向上にも貢献した。

6)S32-06
アサヒ電機のヒューズ

・6)はアサヒ電機のヒューズで部品の広告は珍しいので取り上げた。

7)S32-07
東洋端子のAMP端子

・7)は東洋端子のAMP端子で、各種の圧着端子の使い方を示したもの。

8)S32-08
光洋電気の配電盤

・8)は光洋電気の配電盤。

9)S32-09
舶用電球(株)の各種ランプ

・9)は舶用電球(株)の各種ランプ。
耐震型とうたっている。
品目の中に蛍光灯はまだ見られない。

10)S32-10
JRCのレーダ管

・10)はJRCのレーダに使われている真空管のPRである。
「マグネトロン」、「クライストロン」、「TR管」、「変調管」のどれ一つ欠けてもレーダは成り立たない。
「工業技術院長官賞に輝く!!」「愈々量産軌道にのる」の文言に当時の心意気と熱気を感じる。

11)S32-11
東京計器のジャイロ

・11)は東京計器(スペリー)のジャイロ・コンパスで、MK14-MOD2はよく使用された型式である。

12)S32-12
大洋電機の回転機

・12)は大洋電機の発電機と電動機である。大洋電機は初登場である。

13)S32-13
川重の舶用電気機器

・13)は川崎重工業の舶用電気機器で、製品種目には交流・直流回転機だけでなく配電盤、変圧器、ノーヒューズ・ブレーカ、分電箱、ヒューズまで記入されている。写真は電動揚貨機と制御用のリレーボックスである。

14)S32-14
日立造船のヒューズ

・14)は日立造船のヒューズである。LR,AB,NK認定品の表記が見える。

15)S32-15
大洋電機の回転機

・15)は大洋電機の発電機、電動機で、交流・直流どちらも手掛けている。

16)S32-16
日幸のサーキットブレーカ

・16)は日幸電機の広告で、ノーヒューズ専門メーカと記している。写真は配電盤。

[メモ]

  1. 1)この年、昭和32年の広告は多彩である。回転機からAMP端子、ヒューズ、ブレーカ、レーダ用の真空管、導波管、舶用ランプまでいろいろな物が登場している。
  2. 2)川重や日立造船などの大手の造船会社が舶用電気機器を広告しているのが目に付く。
    小さなメーカではLR,AB,NKなどの認定試験に対応するのは困難だったのかも知れない。

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